非一様乱流の数理

京大 数理解析研究所 RIMS共同研究(公開型)

開催日程 2017年7月26日(水)--28日(金)

開催場所 京大 数理解析研究所 111号室 (交通案内)

研究代表者 藤 定義 (京都大学 理学研究科)

プログラム (PDF)

7月26日(水)


    11:55--12:00  研究代表者 挨拶

    12:00--12:30  有木健人*(名大未来研)、吉田恭(筑波大院数理物質)、松田景吾(JAMSTEC CEIST)、芳松克則(名大未来研)
 乱流慣性領域中の粒子クラスタリング
    12:30--13:00  岸達郎*、松本剛、藤定義 (京大院理)
 EXIT-TIME統計による乱流相対拡散の研究
    13:00--13:30  石川寿雄*、竹広真一、山田道夫(京大数理研)
 多重並列ミニマル平面 Couette 乱流に対する Lyapunov 解析

    14:00--15:00  清水雅樹 (阪大基)
 平行平板間流れにおける持続乱流の発生

    15:30--16:00  蛭田佳樹*、藤定義 (京大院理)
 二次元コルモゴロフ流における多数の局在乱流が示す現象
    16:00--16:30  Rory T. Cerbus*, Chien-chia Liu, Gustavo Gioia, Pinaki Chakraborty (OIST)
 Turbulence in Transitional Pipe Flows
    16:30--17:00  焼野藍子*(JAMSTEC)、塚原隆裕 (東理大)
 低レイノルズ数遷移チャネル乱流場の線形過渡成長

7月27日(木)


    9:00--9:30  本木慎吾*、河原源太、清水雅樹 (阪大基礎工)
 平行平板間における熱輸送最大化
    9:30--10:00  岩山隆寛*、岡崎正悟 (神大院理)、渡邊威(名工大院工)
 準地衡流2層モデルにおけるNastrom-Gageスペクトルの形成メカニズムに関する数値実験的研究
    10:00--10:30  伊藤純至*、毛利英明 (気象研)、新野宏(東大大気海洋研)
 高解像度気象モデルに対する接地境界層過程の検討

    11:00--12:00  板谷慶一 (京都府立医科大学)
 TBA

    13:30--14:30  井手優紀 (JAXA)
 超音速自然層流翼の境界層遷移に関する非線形安定解析
    14:30--15:00  三浦英昭(核融合研)*、半場藤弘(東大生産研)
 Hall MHD乱流のLES

    15:30--16:00  Gustavo Gioia* and Pinaki Chakraborty (OIST)
 Inferring the turbulent-energy spectrum from the mean-velocity profile
    16:00--16:30  齋藤泉*、後藤俊幸、渡邉威 (名工大工)
 乱流中の非慣性粒子の粒径分布のスペクトル
    16:30--17:00  稲垣和寛*、半場藤弘(東大生研)
 回転系非一様乱流における慣性波と圧力速度相関の関係

    17:30--  懇親会

7月28日(金)


    9:00--9:30  堀本 康文*,後藤 晋(阪大院基礎工)
 添加剤による乱流抑制現象を利用した乱流維持機構の解明
    9:30--10:00  堀内潔*、佐山将太朗 (東工大工学院機械系)
 反変・共変遷移ハリセンボン型 dumbbellモデルによる高分子添加溶液乱流の多重スケール解析
    10:00--10:30  渡邊威*、後藤俊幸 (名工大工)
 ランダム速度場下での弾性乱流の発生とその統計性

    11:00--12:00  出口健悟 (Monash)
 The high Reynolds number limit of self-sustained magneto-hydrodynamic dynamo

    13:30--14:30  山本義暢(山梨大)*、辻義之 (名大)
 高レイノルズ数チャンネル乱流場における大規模構造の内層への寄与
    14:30--15:00  Dongrong Zhang*, Guatavo Gioia, and Pinaki Chakraborty (OIST)
 Spectral theory of the mean-velocity profile in thermally stratified plane-Couette flows

    15:30--16:00  寺村俊紀 (理研AICS)
 乱流ダイナミクスと非線形データ同化手法
    16:00--16:30  後藤晋*(阪大基礎工)、Lennaert van Veen (UIOT)
 定常外力に駆動される乱流の統計性質
    16:30--17:00  荒木圭典(岡山理大工)
 第2変分を用いた安定性解析とRiemann曲率

講演要旨


第2変分を用いた安定性解析とRiemann曲率
荒木圭典(岡山理大・工)

非散逸非圧縮性の中性流体やMHDプラズマの運動は Riemann 計量を備えた Lie 群上の力学系として定式化できる。本公演では、Hall MHD プラズマで Hirota et al. (Phys. Plasmas, 13, 022107 (2006))が導出した保存量がより一般的な定式化を持つことを示し、その安定性解析上の意味について考察する。


乱流慣性領域中の粒子クラスタリング
有木健人*(名大未来研)、吉田恭(筑波大院数理物質)、松田景吾(JAMSTEC CEIST)、芳松克則(名大未来研)

乱流慣性領域における粒子クラスタリングのスケール相似性について議論する。慣性領域において、Kolmogorovスケーリングを適用することで、数密度相関の-4/3乗則が導かれる。一方、乱流完結理論を適用することで、相似則の普遍定数及び物理的由来を理解することができる。特に-4/3乗則は、クラスターのカスケードと凝集機構の釣り合いによって導かれることが分かる。直接数値計算により、数密度相関の-4/3乗則に近い振る舞いが確認できる。


Turbulence in Transitional Pipe Flows
Rory T. Cerbus*, Chien-chia Liu, Gustavo Gioia, Pinaki Chakraborty (OIST)

In 1883 Osborne Reynolds discovered a peculiar state for the flow of water in a pipe [1]. Reynolds investigated how quiescent, laminar flow, which exists at low Re (Reynolds number, a non- dimensional flow speed), gives way to roiling, turbulent flow at high Re. As he smoothly increased Re, he observed intense patches of eddies suddenly appear and invade the laminar flow. These localized patches, which Reynolds named “flashes", are the intermediaries between the laminar and turbulent phases. Later work unveiled many features of these flashes: they can proliferate or fade away, maintain their shape or continually expand [2,3,4]. The nature of the fluctuations in the flashes, however, remains unknown. In particular, it is not known whether flashes are quantitatively the same or different from the asymptotic turbulent state at high Re. We conduct experiments for the flow of water in a pipe and focus our attention on two quantities: the friction factor f, the non- dimensional pressure drop introduced by Reynolds, and the velocity fluctuations. We show that f obeys the turbulent (Blasius) friction law, and the fluctuations in flashes partake in the well-known Richardson-Kolmogorov energy cascade, the signature of the high Re turbulent state. We conclude that transitional pipe flows are two-phase flows in which one phase is laminar and the other, flashes, is turbulent both in the sense of Reynolds and Kolmogorov [5].

References:

[1] Reynolds, O. Proc. Roy. Soc. Lond. 35, 84–99 (1883).

[2] Wygnanski, I. & Champagne, F. J. Fluid Mech. 59, 281–335 (1973).

[3] Eckhardt, B., Schneider, T. M., Hof, B. & Westerweel, J. Ann. Rev. Fluid Mech. 39, 447– 468 (2007).

[4] Mullin, T. Ann. Rev. Fluid Mech. 43, 1–24 (2011).

[5] Rory T. Cerbus, Chien-chia Liu, Gustavo Gioia, Pinaki Chakraborty, arXiv:1701.04048


The high Reynolds number limit of self-sustained magneto-hydrodynamic dynamo [招待講演]
出口健悟 (Monash)

In this talk a self-consistent asymptotic theory valid at large Reynolds number asymptotic limit of resistive magneto-hydrodynamic equations will be discussed. In particular 3D nonlinear magnetic fields that can be self-sustained without external magnetic field or hydrodynamic linear instabilities are concerned. The theory could be viewed as a nice combination of the vortex-wave interaction theory by Hall and Smith (1991) and the resonant absorption theories for Alfven and slow waves, developed in solar physics community.


Inferring the turbulent-energy spectrum from the mean-velocity profile
Gustavo Gioia* and Pinaki Chakraborty (OIST)

We shall use a spectral model of the mean velocity profile (MVP) of turbulent pipe flow to show that each of the features of the MVP (including some which are very well known, such as the log layer, and others which have been largely ignored) relates to a corresponding feature of the spectrum of turbulent energy. Thus, the model allows us to calculate the properties of the spectrum solely from computational or experimental data on the MVP.


定常外力に駆動される乱流の統計性質
後藤晋*(阪大基礎工)、Lennaert van Veen (UIOT)

3次元コルモゴロフ乱流の統計性質について最近分かったことを報告します。


二次元コルモゴロフ流における多数の局在乱流が示す現象
蛭田佳樹*、藤定義 (京大院理)

流量非零のコルモゴロフ流においては、層流解が線形安定になり振幅の大きな初期場からは局在乱流の集合によって理解される状態が実現する。講演では亜臨界乱流遷移を中心とした多数の局在乱流が示す現象について報告する。


添加剤による乱流抑制現象を利用した乱流維持機構の解明
堀本 康文*,後藤 晋(阪大院基礎工)

微量な界面活性剤や高分子の添加は水の乱流を強く抑制し,それは水の乱流の維持機構の抑制を示唆する.乱流抑制現象を調べることで乱流の維持機構を解明する手法を考案し,乱流の生成装置として有用な歳差運動をする球体の内部の乱流の維持機構を明らかにした.


反変・共変遷移ハリセンボン型 dumbbellモデルによる高分子添加溶液乱流の多重スケール解析
堀内潔*、佐山将太朗 (東工大工学院機械系)

 流体の変形への非追随性を導入した高分子の添加溶液における乱流の多重スケール解析(BDS-DNS)を行った。従来の研究において、反変性の高分子は、伸長が大きい場合、渦の伸長方向から周方向に配向を変える事によって、大きな高分子エネルギーを生成する事を示したが、ここでは、更に、反変性の制限を解除して共変性への遷移を許容するdumbbellモデルを提案して、その検証を行った。そして、実際に反変性から共変性への配向の転換が行われて、顕著な高分子エネルギーの生成が得られる事、ならびに、反変型と共変型間の変換の概周期的な発生の存在を示した。


超音速自然層流翼の境界層遷移に関する非線形安定解析 [招待講演]
井手優紀 (JAXA)

本研究では境界層遷移に関する飛行試験の分析と予測手法の高精度化を目的として,NPSE(Nonlinear Parabolized Stability Equations)による超音速三次元境界層の遷移解析を実施した.解析は2005年にオーストラリアで実施された第2回飛行実験の空力データを対象とした.( http://www.aero.jaxa.jp/research/frontier/sst/nexst-1.html ).

線形安定解析結果の支配的攪乱を含むいくつかの相互作用について分析したところ,1stモードが支配的な断面(内翼断面)については高次モードや定在波の急成長などは見られたが,最大の振幅を持つ攪乱の発達は遷移の開始位置付近までほとんど線型成長に従っており,顕著な非線型的挙動は見られなかった.一方,横流れ不安定モードが支配的な断面(外翼断面)については早期に非線型性が顕在化し,多くのケースで振幅が高いレベルで準飽和状態となった.飛行試験に関する検討では,計測した遷移位置と整合する初期振幅を推定したところ,内翼断面での初期振幅はSchraufらやChangらが推定したものと同じオーダである10^-6乗であることが分かった.


回転系非一様乱流における慣性波と圧力速度相関の関係
稲垣和寛*、半場藤弘(東大生研)

回転系の流体運動ではCoriolis力を復元力とした線形波動である慣性波が生じる.流体の非一様な方向に回転軸を持つような非一様乱流の実験や数値計算では,慣性波により回転軸方向へと急速に運動エネルギーが輸送される現象が確認されている.本研究ではこのような現象を統計平均した乱流運動エネルギーの輸送方程式を用いて解析した.このとき圧力拡散項が卓越してエネルギーを輸送していることがわかった.また圧力速度相関と慣性波の群速度が密接な関係にあることも示した.


多重並列ミニマル平面 Couette 乱流に対する Lyapunov 解析
石川寿雄*、竹広真一、山田道夫(京大数理研)

乱流遷移過程における平面 Couette 流では斜め方向の層流・乱流共存パターンが知られている。このパターンの局所的な構造を持つ最小流れ単位での乱流に対して、大スケールの無限小擾乱を用いたLyapunov 解析を行った。その結果、乱流軌道の無限小擾乱に対する不安定性は、斜めパターンの直接的な原因とはいえないことが明らかとなった。


TBA [招待講演]
板谷慶一 (京都府立医科大学)

TBA


高解像度気象モデルに対する接地境界層過程の検討
伊藤純至*、毛利英明 (気象研)、新野宏(東大大気海洋研)

気象モデルでは地面に接するの下部境界条件として、モニン・オブコフ則に従うようなフラックスを接地境界層過程としてパラメタライズする手法が一般的である。このような手法は乱流のアンサンブル平均に基づくため、数値モデルの解像度が向上し、乱流が解像された場合は正当化されなくなる。そのような場合の接地境界層過程について、DNSや風洞実験結果を通して検討している。


準地衡流2層モデルにおけるNastrom-Gageスペクトルの形成メカニズムに関する数値実験的研究
岩山隆寛*、岡崎正悟 (神大院理)、渡邊威(名工大院工)

地球大気のエネルギースペクトルは、大規模では波数の-3乗に、中間規模では波数の-5/3乗に比例することが知られている。このスペクトルはしばしばNastrom-Gageスペクトルと呼ばれていて、その形成メカニズムが精力的に研究されてきた。特にk^{-5/3}スペクトルの形成には重力波の寄与が重要であることが指摘されてきたが、Tung and Orlando (2003)は重力波をフィルターアウトした準地衡流2層モデルでもNastrom-Gageスペクトルが再現できることを数値実験により示し、そのスペクトルの形成メカニズムを提唱している。しかしながら彼らの研究以降、準地衡流2層モデルでNastrom-Gageスペクトルを再現した研究やその形成メカニズムを議論した研究はない。本研究では、準地衡流2層モデルの詳細な数値実験により彼らの提唱したメカニズムの検証を行う。


EXIT-TIME統計による乱流相対拡散の研究
岸達郎*、松本剛、藤定義 (京大院理)

乱流中の粒子対の相対拡散の研究の歴史は長く、コルモゴロフ理論からも導かれるリチャードソン則は有名である。その一方で、近年の実験や数値計算では、リチャードソン則ははっきりと現れない。この矛盾点に対して、我々はEXIT-TIME統計を用いることによって、各粒子対の振る舞いを詳査し、その原因を追求する。


Hall MHD乱流のLES
三浦英昭(核融合研)*、半場藤弘(東大生産研)

MHDモデルを微視的効果について拡張したモデル、Hall MHDモデルによる一様等方乱流のLESを行う。Hall MHDはMHDモデルの電場にHall項を導入したものであるが、この項の導入により、空間構造や波動の分散関係に大きな変化が発生することが知られている。我々は、電場の非線形項をフィルタリングする際に現れるSGS項を開発し、このSGSモデルを用いたLESが、一様等方乱流のDNSによる結果を良く再現することを示す。


平行平板間における熱輸送最大化
本木慎吾*、河原源太、清水雅樹 (阪大基礎工)

一定の温度差を有する2平行平板間において,壁面間の熱輸送を最大化する速度場を数値的に求めた.具体的には,非圧縮かつ定常な速度場を対象に温度についての移流拡散方程式とエネルギー散逸率一定の制約の下で,熱流束を最大化する速度場を変分法により求めた.この問題のfree-slip境界条件かつ2次元の制約の下での最適状態はHassanzadeh et al. (JFM, 2014)によって示されているが,我々はno-slip境界条件かつ3次元に問題を拡張することで新たな知見を得た.


乱流中の非慣性粒子の粒径分布のスペクトル
齋藤泉*、後藤俊幸、渡邉威 (名工大 工学研究科)

衝突・合体によって成長する多数の粒子の粒径分布のスペクトルの時間発展は、乱流理論でも用いられるSmoluchowski 方程式によって記述される.このため, 衝突頻度が単純な式で表される場合には,乱流理論を応用することで平衡状態のスペクトルを予測することができる.本発表では, 3次元一様等方乱流中の非慣性粒子の衝突・合体によって形成される粒径分布の平衡スペクトルについて, 理論とDNSの再現結果を説明する.


平行平板間流れにおける持続乱流の発生 [招待講演]
清水雅樹 (阪大基)

平面クエット流や平面ポアズイユ流において、無限時間持続可能であると考えられる乱流の発生過程について報告する。Chantry et al. (2017)は低次元化されたWaleffe流を用いて、巨大領域の数値計算を行い、この発生過程が空間2次元のdirected percolation普遍クラス(DP普遍クラス)によく合うことを示した。我々は平面クエット流において持続乱流の発生過程を調べ、低解像度の場合、同様な結果を得た。現在、十分な解像度においても調べている途中である。平面ポアズイユ流において、Sano & Tamai(2016)は実験を用いてDP普遍クラスに良く合うことを示し、持続乱流の発生レイノルズ数(830)を求めた。しかし、我々の数値計算によると、このレイノルズ数以下の700付近で2方向に局在した持続乱流が存在するため(Kanazawa et al. 2017)、DPのような遷移との矛盾点も存在する。


乱流ダイナミクスと非線形データ同化手法
寺村俊紀 (理化学研究所計算科学研究機構(AICS))

データ同化は、シミュレーションと実測データを組み合わせることにより予測の精度を向上させる統計数理的な手法であり、天気予報には欠かせないアプローチである。強非線形系である気象系では強いカオス性により状態の確率分布は次第に拡大するが、実測データを同化することで推定精度が上がり確率分布が縮まるため、漸近的に有限の分散を持つ確率分布の発展方程式を解くことになる。これは分布が不変確率測度まで広がる定常乱流や、特定の不変集合上の運動を議論する力学系的アプローチを統合的に扱える視点である。しかしながら、時空カオス系の状態は一般に高次元であるので、次元の呪いを回避するためにガウス分布を仮定せざるを得ず、これにより非線形ダイナミクスを扱う上で困難が生じる。この講演では運動方程式の非線形性により生じる非ガウス性の評価を通じて、データ同化と乱流のダイナミクス研究の関係を模索する。


ランダム速度場下での弾性乱流の発生とその統計性
渡邊威*、後藤俊幸 (名工大工)

近年高分子添加した遅い流れにおいて発生する不規則流動現象である弾性乱流が注目されている。多くの実験系で観測される弾性乱流は、曲がった流線を有する平均速度場下において発生することが知られているが、本研究では平均速度場が存在しない、ランダムな速度場下においても弾性乱流と類似した乱流現象が発生することを数値計算により示す。また観測される乱流現象の統計性について議論する。


低レイノルズ数遷移チャネル乱流場の線形過渡成長
焼野藍子*(JAMSTEC)、塚原隆裕 (東理大)

低レイノルズ数遷移域のチャネル乱流場の直接数値計算では,計算領域全体で局所乱流域が斜め状に広がる様子が観察される.本研究はこのような超低レイノルズ数域での流体の線形過渡成長を調べ,遷移機構を解明することを目的としている.これまでに,超低レイノルズ数域で特有の傾向の幾つかを見出した.


高レイノルズ数チャンネル乱流場における大規模構造の内層への寄与 [招待講演]
山本義暢(山梨大)*、辻義之 (名大)

近年高レイノルズ数壁面乱流場における大規模構造の存在とその乱流統計量への影響が注目を集めている.しかし外層に存在する大規模構造の内層への寄与が顕著となるのは、実験的研究によると摩擦レイノルズ数で7000を超える高レイノルズ数領域であり、計算機負荷により直接数値計算(DNS)による検証は困難であった.今回、摩擦レイノルズ数8000までのDNSを実行し、長時間乱流統計量の取得に成功した。 得られたDNSデータは、実験的研究により指摘されてきたいくつかの高レイノルズ数乱流場の特性を再現することを確認した。一方、高レイノルズ数乱流構造に関する理論的モデルであるattached eddy仮説及びそれによるスペクトル分布のk-1乗則、さらには乱流強度分布の対数則の成立に関しては成立性を明確には確認できなかった。この原因及びより高いレイノルズ数条件での予測を含めた考察を行う。


Spectral theory of the mean-velocity profile in thermally stratified plane-Couette flows
Dongrong Zhang*, Guatavo Gioia, and Pinaki Chakraborty (Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University)

It has been long known that the mean velocity profile (MVP) in a thermally-stratified wall-bounded turbulent flow deviates from the logarithmic law of the wall. Using the theoretical framework of the spectral link (Gioia et al. 2010), we consider the MVP in thermally-stratified plane-Couette flows. Accounting for the whole structure of the turbulent kinetic energy spectrum—the energetic range, the inertial range, and the dissipative range—we compute the whole MVP from the wall to the centerline. We examine the scaling of the MVP in the “wall coordinates” and confirm the law of the wall for weakly stratified conditions. We explain the deviations from the logarithmic law of the wall for both stable and unstable stratifications. Finally, we propose a generalized Monin-Obukhov similarity theory, which is in excellent accord with the spectral theory and is supported by results from direct numerical simulations.